80歳の男性患者は孫からの“宿題”で生きる元気を取り戻した
ひとしきりお話をされて、Pさんはお帰りになりました。
■図書館にも通い始めた
それから2カ月後の受診です。今度はとても元気そうに見えました。
「元気ですよ。採血の結果はどうでした? 悪いものはなにもなかった?良かった。おかげさまでありがとうございます。この間、私の誕生日だからって中学生の孫が来てね。“宿題”をもらっちゃいましたよ。なんと『人間の生きる意味』って題で作文を書くから、生きる意味を教えてくれって言うんです。親は人生経験が長いおじいちゃんに聞けって言ったそうで、そんなこと聞かれて困ってしまって。私の宿題になってしまいましたよ。私はそんな難しいこと考えたこともないしね。『世界でたった一人の私のおじいちゃん。元気で長生きしてください』なんて書いたカードを持ってきてさ。気がついたら小遣い弾んであげちゃいましたよ」
Pさんはニコニコ顔です。
「こんな話できるのは先生だけだ。睡眠剤、出すの忘れないでね。あれがないと眠れない時に困るから。来月、また孫が来る時まで宿題の答えを考えておかなくちゃならなくなって大変です。図書館通いしてますよ。先生、診察を待ってる人がいっぱいだよ。次の2カ月後は1月だね! また来るから、先生も元気でいてね。ありがとね!」