口腔内の環境が良くなれば血糖値は下がるのか?
印象的な30代の男性患者さんがいらっしゃいます。明らかに太っていて、「歯ブラシを持ってないのではないか」と毎回疑うくらい、いつもプラーク(細菌の塊)まみれでした。
しかし、久しぶりに来院されたとき、激やせしていて本人と気づきませんでした。
話を聞くと、「糖尿病と診断されて食事制限と運動で30キロやせた」とのこと。口腔内を見てみると、あんなにプラークまみれだったのがウソのようにきれいに管理されていました。ご本人は「特に口腔内ケアには努力していない」とおっしゃるので笑ってしまいましたが、彼を見て、糖尿病は歯周病に関与していることが実によくわかりました。
1998年に九州大学が肥満と歯周病の関連について初めて報告しましたが、現在では今回お話ししたようにさまざまな事実がわかってきています。歯周病患者は糖尿病になりやすく、糖尿病患者は歯周病になりやすい、ということです。
(構成=小澤美佳)