COPDを抱えていると心臓疾患での死亡リスクがアップする
COPDでは、先ほど挙げたように交感神経を刺激して気管支を広げるβ2刺激薬が使われます。一方の心不全は、利尿剤のほかに血圧や心拍数を抑えて心臓の働きを休め、心機能を保護するβ遮断薬が多く用いられます。ただ、β遮断薬には気道を狭くする作用があり、気道けいれんを誘発する可能性があるためCOPDの患者さんへの使用は一般的に禁忌とされています。
そうした場合、COPDには気管支に作用するβ2刺激薬、心不全には心血管にだけ作用するタイプのβ遮断薬を使わなければなりません。日本呼吸器学会のCOPD治療ガイドラインでも、「心血管系の合併症を持つCOPD患者に心臓選択性のβ遮断薬を使用しても、副作用や気流閉塞の悪化がほとんど起こらない」としています。
いずれにせよ、呼吸器専門医と循環器専門医の連携が大切です。不安がある患者さんは、どんな連携体制になっているかを担当医に確認してみてください。
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