血液と「貧血」<1>65歳以上の日本人の10%が該当する
「顔色が少し青いけど、貧血気味じゃない?」
家族間で、こんな会話を交わしたことがあるでしょうか。
「貧血」は、血球数(血液に浮遊している赤血球、白血球、血小板)の減少や、とくに赤血球中のヘモグロビン(血色素)の量が減少すると、血液を運ぶ酸素が十分に供給されなくなり、貧血という症状を招きます。
世界保健機関(WHO)は、貧血の基準値を「ヘモグロビン(血色素)が男性13g/デシリットル未満、女性12g/デシリットル未満」と定義しています。この定義から推測すると、65歳以上の日本人10%ぐらいが貧血に当てはまり、85歳以上の高齢なら約20%と高くなります。
貧血の原因となる赤血球の増減は、エリスロポエチンというホルモン(EPO=赤血球の産生を促進する造血因子のひとつ)による骨髄内での赤血球製造コントロールで左右されます。EPOは低酸素や貧血が刺激となり、腎臓で作られます。
赤血球の産生は、EPOだけでは足りません。主に鉄、ビタミンB12(鉄族元素、コバルトを含むビタミンの総称)、さらに葉酸(水溶性のビタミンB群)といった基質類の十分な供給が必要です。