「人と同じ」に振り回されず、自分軸で考えれば幸せになれる
人と同じことができない自分はダメ人間――。心因性の性交痛でセックスができないと、身体的には問題がない分、特に若い世代ではより自分を責めてしまいがちです。今後、治療が進めばいいなと願う一方で、「人と同じこと」という考え方から解放され、自由な人生を送ってほしいとも思います。
私は10年前、不妊治療をしていました。当時を振り返ると、本当に子供が欲しいのか自問することもなく、ただ周囲の友人が次々と妊娠していくのを悔しく感じたり、幸せに見えて劣等感を抱いていました。
実際の不妊治療は想像以上につらく、投薬による体のむくみや心身の不調に悩まされ、正社員で働く限界を感じて辞職しました。しかし、本当に子供が欲しかったのか、自分に問うてみたのは、恥ずかしながらごく最近。そこで思い至ったのは、子供を心底望んでいたのではなく、誰かより劣るという意識や、性交痛の罪滅ぼしを、妊娠でなんとか埋め合わせたいと考えていたのではないか、ということです。
ずっと子供が持てなかった自分をかわいそうだと感じていました。不妊治療をしていた頃と同年代のカップルが赤ちゃんを連れていると、こっそり泣いていました。本当は子供を望んでいなかったのに、人と同じことができない自分を10年近くも哀れんでいたのです。