荒川隆之
著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【急性中耳炎】中等症以上では抗菌薬の投与が推奨されている

公開日: 更新日:

 急性中耳炎は、急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴う場合があります。主に幼児に多い疾患ですが成人でも発症するケースがあります。

 合併症のない急性中耳炎に対し、軽症例では3日程度、抗菌薬を投与せずに対症療法のみで経過を見ることが推奨されています。しかし中等症以上では抗菌薬の投与が推奨されており、重症例ではそれに加えて鼓膜切開も考慮されます。鼓膜は再生能力が強く、切開しても炎症が落ち着いてくると通常は3~4日で閉じるといわれています。昨年、私も鼓膜切開を経験したのですが、けっこう早く閉じてくれました。

 抗菌薬はペニシリン系のアモキシシリンを最初に使うケースが多く、3~5日で効果がない場合は、原因菌の抗菌薬に対する感受性を見ながら、別の経口抗菌薬に変更されるのが一般的です。

 急性中耳炎を引き起こす原因菌としては、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラクセラ・カタラーリスといった細菌が多く、これらはいずれも肺炎の原因菌として知られています。

 肺炎の場合は基本的に注射による抗菌薬治療になる場合が多いのですが、急性中耳炎では経口抗菌薬による治療がほとんどです。これは肺炎と急性中耳炎の重症感の違いによるところが大きいと思われます。肺炎は重篤化しやすく命に関わることもありますが、現代では急性中耳炎で死亡したという事例は聞きません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

    巨人入り若林楽人「4番気取り」なら新天地でも“塩漬け”不可避…打撃に求められる意識改革

  2. 2
    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  3. 3
    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

  4. 4
    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

    3選狙う小池都知事は情勢調査「一歩リード」も圧勝遠のき焦り…街頭演説も聴衆スカスカ

  5. 5
    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  1. 6
    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

    巨人が「同ポジション」緊急トレードで企む真の狙い…松原を西武に放出、若林を獲得

  2. 7
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  3. 8
    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

    小池知事は都知事選TV討論すべて拒絶…蓮舫氏が街頭演説で暴露し「逃げないで」と訴え

  4. 9
    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

    永尾柚乃はもはや子役にあらず …すでに「助演女優レベル」の納得エピソード

  5. 10
    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声

    高橋一生「ブラック・ジャック」の不安材料? ドクター・キリコ=石橋静河にやはり疑問の声