「認知症治療薬は、副作用として感情失禁や性格変化につながることもあり、かえって怒りっぽくなったりすることで認知症状が増悪する場合もあります」
認知症は「予防しよう」「治そう」というものではなく、誰もが訪れる加齢に伴う変化と受け入れながら、症状に合わせた細かな周囲の対応が必要となる。
「画像や検査で『認知症』がわかるだけでは解決につながる服薬調整をすることは困難です。家族が医師に対して『今、何が問題で、何が困っているのか』を伝えることが大切です」
自宅でもその症状に対応した服薬や介護環境の調整をすることで、本人も家族も認知症とともに「幸福に生きる」ことも可能だと山中医師は言うのである。