負担が少ない低侵襲治療を受けるなら裏にあるリスクを知っておく
医療が急速に進歩しているいまだからこそ、あらためて「安全で適切な医療」を見直すべきだと前回お話ししました。まずは薬の処方について取り上げましたが、手術をはじめとした治療も同じです。
患者さんの命を守り、安全に手術を行ううえで最も重要なのは、「エビデンス(科学的根拠)にのっとった治療」です。エビデンスとは、該当する患者の病気に対して、その治療法が効果的なのか、安全なのかどうかの科学的根拠、臨床的な裏付けのことで、さまざまな大規模研究によって客観的に証明されたデータを基に構築されます。
エビデンスのレベルは、対象者を無作為に2つのグループに分けて、一方は「評価しようとしている新しい治療法」、一方は「それとは異なる治療法」を実施し、結果を比較して評価する「ランダム化比較試験」が最も高く、さらに複数のランダム化比較試験の結果を統合して分析するメタアナリシスによって得られるデータは、より信頼性が高くなります。各学会で作成しているガイドラインで推奨している標準治療は、そうしたエビデンスを基に決められています。