性感染症専門医が語る「サル痘」が日本で急拡大する裏事情…2023年に入り100人突破
サル痘は天然痘ワクチンを打つことで約85%発症予防効果があるといわれている。現在、ヒトからヒトへの最長感染回数は6回から9回に増えていて、その原因は天然痘ワクチンの接種中止ですべてのコミュニティーで集団の免疫力が低下しているのではないか、との見方もある。
■患者の状態によっては重症化
本来、サル痘は中央アフリカから西アフリカにかけて定期的に流行する風土病。昨年5月以降、サル痘流行地域への渡航歴のないサル痘患者が世界各地で報告され、WHO(世界保健機関)が昨年7月に「緊急事態宣言」を発したことで日本でも広く認知されるようになった。
アフリカに生息するリス、ウサギ、サルなどサル痘ウイルスを保有する動物との接触により感染する。患者との長時間の暴露あるいは、皮膚病変、体液、血液との接触、感染した人が使用した寝具などで感染したとの例も報告されている。
潜伏期間は6~13日(最大5~21日)。発熱、頭痛、顎の下や頚部や鼠径部にリンパ節腫脹などの症状が数日続き、その後発疹が現れる。多くは2~4週間で自然治癒するが、患者の状態によっては重症化し、皮膚の2次感染や気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を生じる場合もある。