著者のコラム一覧
清水俊彦東京女子医大脳神経外科客員教授

東京女子医大脳神経外科客員教授。「汐留シティセンターセントラルクリニック」の頭痛外来には全国から患者が訪れる。

めまい、耳鳴り、不眠…長年の頭痛が招く「脳過敏症候群」

公開日: 更新日:

 日本人で慢性的な頭痛に悩まされている人は4000万人。間違いなく国民病だと言っていいと思います。

 慢性頭痛の種類には、緊張型頭痛や片頭痛があることはこの連載でも何度もお伝えしました。これらの慢性頭痛には「脳の過敏」が関係しています。どの頭痛であれ、頭痛は脳に異常な興奮をもたらす疾患であり、さらに長年の脳の異常な興奮状態は、体にさまざまな不調を生じさせる。私はこれを「脳過敏症候群」と名づけ、論文化して、数年前に慢性頭痛の変容した経年性の症状として国際的に提唱し、近年、医学のさまざまな分野で注目を集めるようになりました。

 脳過敏症候群が引き起こす不調は、主にめまいや耳鳴り、不眠など。片頭痛持ちにもかかわらず、長年、適切な診断と治療を受けず、市販の鎮痛剤などで騙し騙し生活を送ってきたり、我慢し続けた人が発症する--。そう考え、該当する患者さんを対象に、現病歴、既往歴を確認。

 さらに脳波検査などをして、患者さん一人一人の様子を詳細に調べ、分析していったのです。

 その結果、「一般的な治療で頭痛が治らない、加えて耳鳴りやめまい、不眠などのいずれかがある患者さんには、脳神経に慢性的な興奮状態が見られる」ことがわかりました。これらの患者さんは年齢を重ねるごとに、頭痛そのものは軽くなったり、なくなったりすることが多い。ところが長年の脳の興奮状態はそのままになっているので、今度は頭の痛みではなく、めまいや耳鳴り、不眠などの症状を引き起こすというわけです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇