認知症疑いの親に病院で検査を…どうやって切り出せばいい?
受診の説得の大原則は「嘘をつかない。正攻法でいく」
この女性のような「(父・義父/母・義母の)認知症が心配。でも、どうやって病院へ連れて行けばいいかわからない」という相談は少なくありません。理由は「認知症かもしれない、と言うと気を悪くしそう」「病院で診てもらおう、と言ったら『ボケ扱いするのか!』と激怒された」などなど。読者の皆さんも、もしものときはどうしたらいいか頭を悩ますだろう、と予想している方がいるのではないでしょうか。
受診の説得として、まず大原則は「嘘をつかない。正攻法でいく」。
とにかく病院に行ってもらえさえすればいいと、「ただの健康診断だから」「医者とちょっと話をすればいいだけだから」といったその場しのぎの嘘をつくと、後々の検査や治療のときに「聞いていない」となり、ゴタゴタします。
「次」に病院へ連れて行こうとしたら、断固として拒否された、といったケースも珍しくありません。
順番としては、まずは息子・娘から「いつまでも元気でいてほしいから」と受診を説得する。関係性によって、実の息子・娘のほうがいいか、義理の息子・娘のほうがいいかは変わります。それでダメなら、お孫さんから説得する。
それでもダメなら、かかりつけ医に「そろそろいい年齢だから、調べておいたほうがいい」と説得してもらう。
もし、父母の配偶者が健在なら、配偶者から「病院を受診したいけどひとりでは不安。付き添ってもらえないか」と切り出し2人で受診する。“付き添い側”の診察が主目的となるわけです。
冒頭の女性の場合、息子さんが「母親が認知症のはずがない」と説得を拒否(息子が母親の認知症を拒否するケースはよくあります)。
女性と、お義母さんが可愛がっていた娘さん(お義母さんから見たら孫)が2人で説得したところ、想像していたよりすんなりと応じてくれたそうです。患者さん自身が、以前はありえなかった物忘れなどに不安を感じていて、病院で診てもらいたい、でも勇気がない……と内心思っているケースも、またよくあります。