どれだけ寝てもひどく眠くなる人は…「特発性過眠症」かもしれない

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 そんな中、宮川氏と本多氏らが行った研究で、特発性過眠症の発症に関わる遺伝子が世界で初めて発見されたと、昨年4月に英国科学雑誌で発表された。

「特発性過眠症と診断された598人のDNAを解析したところ、健常者9826人と比較して睡眠と覚醒を調整する『オレキシン』の基となる前駆体の遺伝子に特定の変異が見られる確率が高かったのです」(宮川氏)

 オレキシン前駆体は、酵素によってオレキシンAとオレキシンBの2つに切断されて脳内に作用する。今回の研究では、この切断部分に変異が見られる割合が特発性過眠症では1.67%、健常者では0.32%と、5倍の差が見られた。さらに、特発性過眠症の患者の中でも変異がある人は、ない人に比べて重症化の傾向が高いことも明らかになったという。

 今回の研究結果から、現在ナルコレプシーの治療薬として開発が進められている「オレキシン作動薬」が、特発性過眠症に対して有効かもしれないと期待される。

「オレキシン前駆体に変異が生じている人であれば、オレキシン作動薬が特に効果を示すかもしれない。まずはナルコレプシーが対象ですが、治験で有効性や安全性が確認されれば、近い未来、特発性過眠症の方にも処方できる日が来るかもしれません」(宮川氏)

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