北米でも人間を襲うクマが増加 「気候変動による“ニューノーマル”と考えるべき」と研究者
日本では今年、クマの人間に対する攻撃が激増し、住民の命をどう守るかが深刻な問題となっています。実は北米でも近年、クマの人間に対する攻撃パターンに著しい変化が見られています。その主な原因と考えられているのが、気候変動です。
北米では1960年代以降、人間とクマの衝突に関する研究が続けられてきました。
特にクマの2つの行動、食物に対する条件づけと、人への馴れを阻止することの重要性が明らかになりました。こうした研究結果は政策に反映され、多くの人間とクマの命を救ってきました。
しかしこうした研究は、すべての生態系が安定していることが前提でした。科学ジャーナルで知られる非営利メディア「ザ・カンバセーション」への寄稿で、カナダのサスカチュワン大学のダグラス・クラーク教授はこう語ります。
「クマと人間の衝突の急激な増加の原因は食糧不足。私たちはこれを、気候変動による生態系の崩壊という“ニューノーマル“として考えるべきだ」
2018年秋、ユーコン州では穏やかな暖かい日が続きました。その後、冬が始まった11月下旬に、人里離れた山小屋の近くで、女性と乳児がグリズリーにより殺害されたのです。このクマは痩せた高齢のオスで、これは捕食を目的とした攻撃だったと結論づけられました。その他にも冬の間に何頭ものクマの活動が報告され、クマが冬眠前に食べるベリーの不作が原因と考えられています。