「血管再生治療」で糖尿病による足の切断は避けられるのか?
ただ、EPCの数は全血中細胞のうち0.1~1.0%と極めて少ないので、大量に血液や骨髄液を採取する必要があり、患者さんの体に大きな負担がかかります。糖尿病患者の場合、自身のEPCも糖尿病によって侵されるので、健常者と比べて質が悪く、十分な効果を得られにくいといった問題もありました。
そこで、今回私たちが開発したのが次世代の再生医療「生体外培養増幅法(QQc法)」です。患者さんから100~200ミリリットルの血液を採取し、その中に含まれる末梢血単核球(MNC)を取り出して約1週間培養し、治療に必要な量を製造する方法です。この方法で得られた細胞(MNC-QQ細胞)は、局所麻酔をした患部の周辺に注射して移植します。現在、難治性虚血性下肢潰瘍の患者さんを対象に臨床研究を行っていて、これまでQQc法を受けた全例で、痛みの改善や血行の改善、歩行の維持が見られ、有効性のほか一定の安全性も確認されています。
また臨床研究だけでなく、QQc法を希望される患者さんに対しては、対象患者さんに該当することで順天堂医院で保険外診療を行っています。
現在、開発した技術を製品化するために薬事承認の取得に向けて株式会社リィエイルを立ち上げました。医薬品に改良したRE01細胞を3~4年後の保険適用を目標に、研究・開発に取り組んでいきます。