著者のコラム一覧
田中里佳順天堂医院足の疾患センター長

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

「血管再生治療」で糖尿病による足の切断は避けられるのか?

公開日: 更新日:

 ただ、EPCの数は全血中細胞のうち0.1~1.0%と極めて少ないので、大量に血液や骨髄液を採取する必要があり、患者さんの体に大きな負担がかかります。糖尿病患者の場合、自身のEPCも糖尿病によって侵されるので、健常者と比べて質が悪く、十分な効果を得られにくいといった問題もありました。

 そこで、今回私たちが開発したのが次世代の再生医療「生体外培養増幅法(QQc法)」です。患者さんから100~200ミリリットルの血液を採取し、その中に含まれる末梢血単核球(MNC)を取り出して約1週間培養し、治療に必要な量を製造する方法です。この方法で得られた細胞(MNC-QQ細胞)は、局所麻酔をした患部の周辺に注射して移植します。現在、難治性虚血性下肢潰瘍の患者さんを対象に臨床研究を行っていて、これまでQQc法を受けた全例で、痛みの改善や血行の改善、歩行の維持が見られ、有効性のほか一定の安全性も確認されています。

 また臨床研究だけでなく、QQc法を希望される患者さんに対しては、対象患者さんに該当することで順天堂医院で保険外診療を行っています。

 現在、開発した技術を製品化するために薬事承認の取得に向けて株式会社リィエイルを立ち上げました。医薬品に改良したRE01細胞を3~4年後の保険適用を目標に、研究・開発に取り組んでいきます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も