「緩和」には適切な調整が必要…痛みとの付き合い方は人それぞれ
患者さんの痛みをできるだけ取り除くことは、訪問診療の中でも非常に重要なことのひとつです。痛みがあるだけで、患者さんのQOL(生活の質)が大きく下がり、自宅での療養自体を難しくすることもあるからです。
ですが、いくら痛いからといって、体の弱った患者さんに対して、むやみに鎮痛剤などの麻薬を使えばよいというわけではなく、使うタイミングや使用量などの適切な調整が必要になります。
痛みの原因は種類がたくさんありますし、痛みとの付き合い方も患者さんによってさまざま。だからこそ、その患者さんにとってのベターは何かを探り、痛みのコントロールを図ることが求められます。
娘さんと同居する、胃がん末期の90代の女性。1カ月ほど前、夜の6時ごろに他の病院からのご紹介で、痛みのため救急に訪問の要請をいただいたのですが、結局はご本人の要望で、翌朝に改めてご自宅に伺うこととなりました。
「いま痛みはどうですか?」(私)
「左向きで寝てると落ち着いています。うちの中では壁につかまりながら歩いています」(本人)