肺がん治療の今(4)散らばったがんにも負けない薬で叩き、陽子線でとどめを刺す

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 陽子線は、放射線治療の一種だ。水素の原子核(陽子)を加速してエネルギーを高めてできる陽子線を利用する。陽子線には「設定した場所に到達した時に、最大のエネルギーを放出して消失する」という特性がある。簡単にいうと、がんがある場所までは線量が高くなく、がんに到達した時点で最大限に効果を発揮。しかしその線量はがんに当たった後は急速にエネルギーダウンする。

「従来の放射線治療だと心臓などの臓器にもダメージを与えるので、がんは消えても心臓病で命を失うリスクがありました。しかし陽子線はほかの組織にダメージを与えず、がんだけをピンポイントで集中的に治療できる。かつ、分子標的薬は耐性化の問題から何年かすると効かなくなりますが、陽子線ならそれらのがんに対しても局所集中的に治療ができる」(樋田医師)

 今月から、早期肺がん手術が非適用の場合、陽子線治療が保険適用となった。今後、肺がんの治療成績は右肩上がりになっていくことを、期待したい。(おわり)

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