長寿研究のいまを知る(10)糖尿病薬「メトホルミン」が抗老化薬として注目されるワケ
米国では2020年から6年間行う「Targeting Aging with Metformin」(TAME)試験がスタート。全米14の主要研究機関が参加するこの臨床研究は65歳から79歳までの3000人以上が対象となる。研究の狙いはメトホルミンを服用している人が、心臓病、がん、認知症などの加齢に伴う慢性疾患の発症遅延や進行を経験するかどうかを検証することだ。
■長寿遺伝子の活性を高める
メトホルミンがなぜ老化を防ぐのか?
「メトホルミンは、カロリー制限したときと同じようにオートファジーを活性化することがわかっていますが、注目すべきはミトコンドリアの活動にも影響を与えることです。ミトコンドリアは細胞内に数百~数千存在する細胞小器官で、細胞内に運ばれてきた栄養素や酸素を使ってエネルギーを作るエネルギー産生工場です」
メトホルミンを使うと、ミトコンドリアの機能を回復させる酵素AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)が活性化し、ミトコンドリアが元気になる。