競泳・長崎宏子さん「12歳の私は気にしていなかったが…」
■「東京に行ける!」
「正直、12歳の私は五輪に出られなかったことをあまり気にしていませんでした。日本選手権は通常通りに開催されたため、純粋だったのか『東京に行ける!』とそちらを楽しみにしていました」
その日本選手権を12歳で制し、ナショナルチームに選ばれるとハワイ、カナダに遠征。初めて経験する国際大会で世界のトップスイマーの実力を目の当たりにした。
「この頃から“五輪”を意識し始め、4年間の計画を立てて真剣に練習するようになりました。負けず嫌いだったのでしょう。『水泳だけしか能がない』『脳まで筋肉』などとバカにされないように勉強もしっかりやりました。中学校では特に英語の授業は先生の言葉を一言一句漏らさないくらい真剣に受けました。小学生時代の海外遠征で英語を話すチームメートを見て、強烈な憧れを抱いたからです」
文武両道を貫き、県下有数の進学校、秋田北高校に入学。そしてこの年、200メートル平泳ぎで5年連続の日本選手権優勝を果たし、金メダル有力候補としてロサンゼルス五輪の大舞台に立った。