オリ山本由伸のルーツを恩師ら4人が証言「高卒新人は打者ごとに投球フォームを変えていた」
3年連続でパ・リーグ優勝を飾ったオリックスの絶対的エース山本由伸(25)。今季は14勝6敗、防御率1.32、148奪三振はリーグ2位。OBの山田久志(1976~78年)、イチロー(94~96年)に続くプロ野球史上3人目の3年連続MVPが濃厚だ。今オフはポスティングシステムによるメジャー挑戦が確実視される「ヨシノブ」のルーツを複数の恩師と高校時代の後輩が証言した。
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プロ7年目の今季は左足をすり足気味に踏み出すフォームに改造すると、侍ジャパンの一員として3月のWBCで世界一。オリックスでは今月9日のロッテ戦で2年連続ノーヒットノーランを達成した。
入団1年目の2017年にオリックスのファーム育成コーチを務めた酒井勉氏(60=現・金沢学院大コーチ)がこう証言する。
「担当の山口和男スカウト(現・アマチュアスカウトグループ長)から『酒井さん、いい投手を見つけたんですよ』と何度も聞かされていました。甲子園に出場していないこともあって4位で入ってきましたが、キャンプのブルペンを見たら、山口スカウトが絶賛する理由が分かりました。私が16~17年間ファームのコーチをやって見てきた西勇輝(現・阪神)、宮城大弥や楽天のコーチ時代に見た釜田佳直や松井裕樹といった、その後活躍する高卒投手と比べてもズバぬけていた。力を抜きながらリリースの時だけ力を入れるメリハリとか、球の強さ、軌道の安定性。故障の情報もあって他球団は指名に踏み切れなかったようですが、素材は間違いなく1位クラス。スカウティングの勝利です」
1年目に二軍戦で登板した際、酒井氏は山本の異変に気が付いたという。
「投球フォームを変えながら投げていたので、本人に聞いたら、『バッターのタイミングの取り方を見ながら変えています』と。普通、投手は自分の形ばかりを気にします。自分のフォームを変えてまで打者と勝負できる高卒ルーキーを初めて見たので、これはすぐに一軍に上がる投手だなと確信しました」