イチロー氏が通算8校目、今年2校目の直接指導に離島の宮古高校を選んだワケ
マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が、16、17日の2日間で、沖縄の離島、宮古島の宮古高校の野球部を指導した。
宮古は甲子園出場経験こそないが、今春の沖縄大会では8年ぶりに決勝進出。夏の県大会は準決勝でセンバツ出場の沖縄尚学に2-5で敗れるなど、島民の悲願である甲子園出場まであと一歩に迫っている。
宮古高校を選んだのは、学校関係者や部員だけではなく、島民からの熱い思いが届いたからだという。「島全体の思いに応え、未来の礎となるきっかけを残せたら」とはイチロー氏だ。また、宮古島は2014年までオリックスのキャンプ地で、イチロー氏にとってはかつて汗を流したゆかりの地でもある。
しかし、宮古島に来た理由はそれだけではない。イチロー氏は部員にこう言った。
「みんな努力は報われる、練習は嘘をつかないとかよく言うけど、実際は報われないからね。努力したら報われると思っている人は見返りを求めているんだよ。見返りを求める姿勢が駄目なんだよね。練習しないとうまくならないのは確定してるけど、練習したからうまくなるわけではない。努力しているのは第三者が決めること。自分は普通にやっているけど、人から見ると頑張っているな、という状態まで上がってきてほしい。頑張っている感触から抜け出さないと、越えられない」
当然、離島の高校は他の高校と比べて環境には恵まれない。宮古は島内で唯一の全日制普通高校で、野球部の部員はわずか20人。本島などの野球部と練習試合を組むのもひと苦労だ。だが、それを言い訳にしてはいけない。それを伝えるための訪問でもあったのだろう。