“同世代”がつづる戦争と平和への思い
塚原守通さんは、自分の若い日々を「騙された青春」と振り返る。終戦の1年前、22歳のときにニューギニアに送られ、食料が尽きたジャングルでヘビやうじ虫を食べて生き延びた。勝つためと信じて戦ったが、そのときすでにミッドウェー海戦にも敗れた後で、勝ち目などないことを国は知っていたはずだ。
守通さんは現代の若者に、「騙されるな」という言葉を残し、89歳で逝去。沖縄出身の大学生である元山仁士郎さんは、どうして当時の若者は騙されてしまったのか、守通さんが生きているうちにもっと話を聞きたかったと手紙をつづる。
いわゆる証言集とは一線を画す本書。この夏、ぜひ手に取ってみたい。