「土偶のリアル」譽田亜紀子著 武藤康弘監修 スソアキコ絵
山梨県の甲府盆地東部に釈迦堂遺跡群と呼ばれる大集落の遺跡がある。ここには1116個もの割れてバラバラになった土偶があることで知られている。なぜなのか。
そもそも「割る」ために作られたという説。割ったものを一つずつ持ち帰って、お守りのように所有したのではないか。なにか揉め事が起こったときに、和解の証しに両者が土偶の破片を所有したとも。さらに、安産祈願などの願いを込めて土偶を作るけれども、願いという執着が心と体をがんじがらめにしてしまわないために、あえて壊すことで固くなった心を解放したのではないか。
国宝・縄文の女神から遮光器土偶まで、資料とカラー図版を多数収録し、縄文人の心に分け入る17の物語。(山川出版社 1500円+税)