「うつし絵」辻堂魁著
「うつし絵」辻堂魁著
元文3(1738)年4月、寺社奉行の大岡忠相は、関所破りで捕まった旅の絵師・土田半左衛門の評定に立ち会う。本人によると、江戸・木挽町で生まれ、放蕩生活を送っていた半左衛門は、人寄せ稼業の満次郎の女に手を出し、その手下と斬り合いになって、15年前の享保8年に江戸を出奔。以来、親から渡された偽手形で諸国を放浪してきたという。
話を聞いて、あることを思い出した忠相は半左衛門が15年前に受けた刀傷を確かめる。屋敷に戻った忠相は、配下の十一に15年前、旗本の倉橋家の跡取り息子惨殺の嫌疑で取り調べ中に病死した旗本の内藤斎樹について至急調べるよう指示を出す。
名奉行がかつて扱った事件と再び向き合う人気時代シリーズ「大岡裁き再吟味」最新刊。
(講談社 825円)