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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

猫に腎不全が多いのはなぜか

公開日: 更新日:

 ペットの医療はある意味人間より進んでいて、人間に使える薬でペットに使えない薬はないほどです。クリニックでも、患者さんから本人の治療ではなく、自分のペットの治療について、しばしば相談されます。

 その中で、「猫の腎臓が悪くなった」という話をよく聞きます。実際に人間を含む他の動物と比べても、猫は腎臓が悪くなりやすく、腎不全による死亡が多いことが分かっています。なぜ、猫は腎臓が悪くなりやすいのでしょう?

 最近、日本の研究者から興味深い研究結果が報告されました。マクロファージという白血球の一種から分泌されるタンパク質で、大きな免疫グロブリンと結合している「AIM」という物質が発見されました。人間とネズミと猫には、この物質があることが確認されています。AIMは腎臓が急に悪くなった時には、免疫グロブリンから離れて活性化し、白血球の働きを助けて腎臓の働きを回復させるという重要な役割を果たしています。

 AIMが働くためには免疫グロブリンから離れることが必要ですが、実は猫のAIMはネズミの1000倍も免疫グロブリンから離れにくいのです。このために、猫のAIMはあまり働くことができず、病気になった腎臓を治す力が弱いのです。

 ネズミにとって猫は天敵ですが、腎臓を治す力はネズミの方がずっと上のようです。

【連載】医者も知らない医学の新常識

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