即死レベルから11年 小西博之さんががんを受け入れるまで
2月に入院し、手術を受けるまで毎日号泣しました。「死にたくない!」と風呂場で1時間、毎日です。ときにはソファをひっくり返し、そこらじゅうのものを引き裂き、台所のお皿も割って暴れました。ひとり暮らしなので遠慮なしにね。でもまぁ、やったことがある人はわかると思いますが、後片付けが大変なんですよ(笑い)。
そうやって落ち込むだけ落ち込むと、ビールが少しおいしく感じたり、寝つきが良くなったりするんです。欽ちゃんの言っていたことが身に染みました。
腎臓がんは5~6センチにもなると転移の可能性が高く、切っても再発率は高い。そんななかで僕のは縦20センチ、横13センチという巨大さで、医師から「日本で5本の指に入る大きさ」と言われました。リンパ節も腫れていたので転移が予想され、後から聞いた話では、両親やスタッフは医師から「手術は成功してもあと3カ月くらい。心の準備をしておいてください」と言われたそうです。
■がんとは戦わない
手術はその道では大変有名な名医にしていただきました。とても大掛かりで、傷口は肋骨の辺りから背中にかけて大きなV字を描いています。肉を切って肋骨をギューッと持ち上げて取り出そうとしたそうですが、それだけでは取り出せず、結局、肋骨を2本切りました。名医ですらそうしないと取り出せない状態だったんです。麻酔が切れてからの痛みは言葉にできません。