俳優・声優の田中正彦さん 主治医の言葉で胃がん手術決意
でも、主治医が「切るよ、99・5%治すから」と言い切った力強い言葉に救われました。治療は抗がん剤でも内視鏡でもなく開腹手術。セカンドオピニオンの考えもちらつきましたが、「切るよ、治すから」という言葉で“この先生に任せよう”と思えたんです。
翌月に舞台を控えていると打ち明けると、主治医は「終わってからでもいいよ。でも、胃がんを抱えて芝居をするストレスは大丈夫?」と一言。周囲に一番迷惑が掛からないようにと考えた末、舞台は断腸の思いで降板しました。
腫瘍は約2センチ。手術前に、転移の可能性を断つために胃の約3分の2切除と、周囲のリンパ節、脂肪分も全部取ると、図を描いて説明されました。結果的には、胃の出口を残して間を取ってつなぐことで胃は2分の1切除で済みましたが、手術時間は約5時間半に及びました。恐怖や不安はそれほどなかったのですが、ひんやりした手術室に入った一瞬だけ「起きて帰れるかな」と思いましたね。
■今も持続力が足りず
術後は痛かったですね。寝返りができないので看護師さんがちょくちょく体の向きを変えてくれるのですが、それがまた痛い。体のあちこちに10本ぐらいの管が刺さっていて、それが1本ずつ抜けていくのがうれしかったなあ。また、いろんな人から「手術の翌日から歩かされる」と聞き、入院前にトレーニングしていたんです。おかげで、本当に手術翌日から歩きました(笑い)。