著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

冬場の入浴は突然死のリスクに注意

公開日: 更新日:

 一年のうちでもとくに寒いこの時期、お風呂でゆっくり浴槽につかりたいという人も多いでしょう。
 入浴で、その日の疲れを取れば、何よりもリラックスできます。

 しかし、その一方で入浴中の健康被害に関する報告も多々あります。その中でも衝撃的なのは「突然死」でしょう。浴室と室内の温度差による体への悪影響と考えられていますが、実は入浴中の突然死について、そのメカニズムはあまりよく分かっていません。

 そんな中、「日本疫学会誌」(2015年2月号)に、東京都監察医務院で検案を行った入浴中の死亡例(3289人)を解析した論文が掲載されています。

 この研究によると、入浴中の突然死の多くは60歳以上の高齢者であり、発生時期は冬場に多いことが明らかとなっています。

 また発生場所の多くは自宅浴室(94・3%)であり、公衆浴場(3・0%)、ホテル(1・6%)と続きます。突然死を起こした人の半数以上が心臓病を有していました。

 さらに、突然死を起こした人の79・1%で溺水の兆候が認められました。溺水とは気道内に液体が入り、気道が閉塞することによる窒息の一種です。ちなみに溺水による死亡のことを溺死と呼びます。そして、溺水兆候のあった人は、溺水兆候のなかった人に比べて統計学的にも有意に血中のアルコール濃度が高いことが示されました。

 これらの結果を整理すると、入浴中の突然死に注意したいのは、高齢者で心臓病を治療中の人であり、特に冬場において飲酒した状態で入浴することはかなり危険といえそうです。このような状況下では、入浴中の体調変化に十分注意する必要があります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  2. 2

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  3. 3

    東野幸治とハライチが春の番組改編で大ピンチ…松本人志、中居正広のスキャンダルでトバッチリ

  4. 4

    元兵庫県議の死をめぐり虚偽情報拡散…立花孝志氏は名誉毀損で立件なるか?若狭勝弁護士が見解

  5. 5

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  1. 6

    綱とり出直しの琴桜に必要な「脱・頭でっかち」…初場所の足を引っ張ったのは考えすぎる悪い癖

  2. 7

    TBS「報道特集」が検証…立花孝志氏が流したデマと恫喝の実態

  3. 8

    文春訂正で中居正広ファン分裂! 「本人は無罪」vs「悪質性が強まった」で大激論

  4. 9

    中居正広トラブルへの関与を改めて否定も…フジテレビ“当該社員”に「緊急異動」発令で社員ザワめく

  5. 10

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋