診断に7年…漫画家・島津郷子さんとパーキンソン病の闘い
迷いながらも主治医に紹介状を書いてもらって、その手術ではナンバーワンといわれる医師のいる大学病院を受診しました。そして、08年の10月末に手術をしたのです。中には適性が合わず手術したくてもできない人もいると知って、チャンスに恵まれたことを幸運に思いました。
約10時間の大手術でした。頭に2カ所穴を開けて電極を刺し、胸に機械を入れたので、計4カ所に6~7センチの傷があります。術後、電極を通すとそれまでの震えが嘘のようになくなって「わぁ、普通の人だぁ」と思いました(笑い)。うれしかったのは、震えがない体を取り戻せたことと、また漫画が描けるようになったこと。一時は「もう描けない」と絶望しましたから、久しぶりに墨汁のにおいを感じたときは感動しましたね。
今も薬が必要ですし、ちょっと声が出にくかったり、歩くのが危なっかしいからヘルパーさんや看護師さん、リハビリの先生などに訪問してもらっていますが、なんとか穏やかに暮らしています。したいことはできるうちにやりたい。特別なことじゃなく、人に会ったり、漫画を描いたりという普通のことですけれど。