著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

がんの骨転移による下肢麻痺は発症から48時間以内が勝負

公開日: 更新日:

「先生、今日はいい知らせがあります。先月ご相談したTさん(65歳・男性)が、歩けるようになってK病院を退院されるそうです。本当によかった」

 F病院のS医師がニコニコしながら私にこんな報告をしてくれました。

 Tさんは肺がんで脊椎に転移があり、脊髄麻痺で足が動かない状態でした。そのままでは回復が難しい状況でしたが、手術が間に合ってすたすたと歩けるようになったのです。劇的な回復で、本人はもちろん、担当医をはじめとしたわれわれもバンザイ! と叫びたいくらいの喜びでした。

 1年前、Tさんは肺がんと診断されて手術で右上肺を切除しましたが、半年後、左右の肺と胸椎に転移が見つかりました。それでも、分子標的薬「ゲフィチニブ」の内服により、肺転移はほとんど消失しました。ただ、胸椎転移には放射線治療が行われたものの、がんは次第に脊髄を圧迫するようになり、下肢の麻痺症状で歩けなくなってきたのです。

 がんが脊髄を圧迫して下肢が動かなくなってから48時間以内に手術を受け、その圧迫がとれれば麻痺は回復する可能性があります。その48時間が勝負です。ただ、本当に元通りに回復するかは手術してみないと分かりません。Tさんは幸いなことに手術が間に合い、無事に回復されたのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動