乳がん手術後に放射線治療を受けている患者さんのケース
まだ34歳だった小林麻央さんの命を奪った乳がんが、あらためてクローズアップされています。その乳がんが心臓の手術にも大きな影響を与えるケースがあります。患者さんがかつて受けた乳がんの治療によって、心臓手術の難易度が上がってしまうのです。
いまから40年以上前に乳がんの治療を受けた人は、乳房の全摘手術を行っています。さらに、放射線治療を受けているケースが一般的です。そうした患者さんは、皮膚が弱くなっていることに加え、胸に放射線を強く広く当てていた影響で、心臓付近の癒着が酷い状態になっています。さらに、放射線を当てた範囲の血管で石灰化が進み、弁にも影響が表れることで冠動脈狭窄症や大動脈弁狭窄症、不整脈などの病気が起こります。
これらはすべて放射線治療による“後遺症”といえます。いまは放射線治療も進化していて、患部にピンポイントに当てています。しかし、過去には患部の周囲も含めてものすごく広く放射線を当てていました。そのため、広い範囲で皮膚の引きつれに悩まされたり、心臓や血管にもダメージが残ってしまっていたのです。