予想以上に血管が石灰化していた高齢患者をその場の判断で対処
そうした状況の中で、なんとか石灰化が少ないところを見つけ出し、石灰化した部分を削って取り除き、グラフトを縫い上げました。全部で4カ所のバイパスを作りましたが、最初の1カ所で苦労したので、想像以上に状態が悪い部分もあるということを頭に置きながら、他はできる限り状態の良いところを探して処置を終えました。
幸い、バイパスに使うための血管を長く採取することができたので、うまく対処することができました。ただ、もしもすべての条件が悪い方向に進んでいたら、ヘタをすると手術中に心筋梗塞を招いたうえに命を失ってしまいかねない状況でした。
84歳という年齢はそれだけで手術のリスクがアップするということを考えると、まずは薬で少し症状を落ち着かせてから、その後で手術を行うという選択もありました。しかし、その間に再び発作が起こったら危険な状態になるのは間違いありません。さらに、この患者さんは、なるべく早く手術をして早くリハビリを始めたほうが回復の度合いも良好になる可能性が高いと判断して、緊急手術を選択したのです。
■緊急手術は想定外の状況に出くわす可能性が高くなる