男性ホルモンを抑えることで膀胱がんの再発を70%抑制
膀胱がんは早期がんでも治療後の再発予防が大切。そのため、新たな治療法の開発が待たれている。その候補のひとつとして「ホルモン療法」に目をつけたのが泉医師らの研究だ。ホルモン療法は前立腺がんでは一般的な治療法で、注射や内服薬でアンドロゲン(男性ホルモン)の作用を抑制する。
「ホルモン療法が膀胱がんの再発抑制に役立つのではないかと感触をつかんだのは、米国留学中(3年間)です。当時、アンドロゲンは膀胱がんの発症に関係するのか、マウスや細胞を使って基礎研究をやっていたからです。それで帰国後、ホルモン療法が実際に膀胱がんの人にどう影響しているのか調べたのです」
研究は、神奈川県内の16医療機関において、約2万人の前立腺患者の中から膀胱がんを合併した239人を抽出。その中から条件を満たす162人について、ホルモン療法の有無別で膀胱がんの再発を調べたのだ。
その結果は、ホルモン療法を受けていない76人のうち、再発したのは38人(50%)。一方、ホルモン療法を受けていた86人のうち、再発は19人(22%)。5年無再発生存率は、ホルモン療法群では76%、非投与群では40%と有意な差が出た。