体内の“炎症”を抑えれば重大病リスク減? 欧州学会で報告
インターロイキンとは、リンパ球や単球、マクロファージなどの免疫担当細胞が産生する生物活性物質の総称で、免疫反応に関連する細胞間相互作用を媒介するペプチドタンパク性物質を言う。現在まで30種類以上が確認されていて、炎症反応に深くかかわり「炎症性サイトカイン」と呼ばれる。
「炎症反応は細菌やウイルスなどの感染源除去や外傷の修復過程に必要な生体応答で、サイトカインのネットワークが関与しています」
これにより生体の恒常性(ホメオスタシス)が維持されるが、その均衡が壊れるとインターロイキンや腫瘍壊死因子(TNF)などに代表されるサイトカインが誘導され、慢性炎症が起きると言われている。今回使われた抗インターロイキンはそれを抑える働きを持つ。
それにしてもなぜ、肺がんに効くのか?
「肺がんはアスベスト、喫煙、あるいは他の吸入毒によって起きる持続的な炎症が原因であると考えられてきました。実際、動物実験などではインターロイキン―1βが、がんの進展に関与していることは示されていましたが、このインターロイキン―1βを阻害する薬が人においてがんを抑制したというデータが今回初めて得られたのです」
もちろん、この先何度も検証され、研究されるべき話だが、人類は重大病克服の糸口をまたひとつ得たのかもしれない。