著者のコラム一覧
若林秀隆医師

リハ栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害を特に専門とする。日本リハビリテーション医学会指導医・専門医。

リハビリ栄養の現場ではBMIのチェックが欠かせない

公開日: 更新日:

 リハ栄養の現場で定期的にチェックする数値のひとつがBMIです。体脂肪や筋肉量を見るのがベストですが、検査機器がないと評価しにくい。BMIは体重と身長が分かれば、体重(キログラム)÷身長(メートル)の2乗で簡単に出せるので、使い勝手がいいのです。

 もし、BMIが基準値22より低くて体重が減少していれば、「この人は筋肉量を増やすような筋トレは控えめに」と判断します。

 BMIが16など数値があまりに低すぎる患者さんが紹介されてくることもあります。この場合は、本格的なリハビリの前に十分な栄養を取るようにしてもらいます。食べることがリハビリに必要なのです。さらに、ベッドに座ったり呼吸を良くするなど、軽めのリハビリを行います。

 一方、BMIが高ければ、筋肉を使うようなリハビリを積極的に行います。リハビリで意図的に体重が落ちているようならそのままで、むしろ増えているなら、その人に適した運動食事を考え実施してもらいます。

 血液中のタンパク質の濃度を測る血清アルブミン値は、炎症や疾患がない患者さんでは、栄養状態を表す指標になります。アルブミンは主に、肝臓で作られるタンパク質。食事を十分にできていない人では、“原材料”がないので肝臓でタンパク質が十分に合成されません。結果、アルブミン値が下がります。この状態が続けば、筋肉量も減ります。ただし、アルブミン値は食事をきちんとできていないのではと考える材料になりますが、これだけで「栄養状態がいい・悪い」を判断できるかというと、それは言い過ぎです。低栄養状態のほかにも、さまざまな要因で数値が下がるからです。

 特に,何らかの疾患で炎症がある患者さんでは、組織の修復に必要な細胞や物質を集めるためにサイトカインという物質が作られます。これが肝臓でのCRP(反応性タンパク質)の合成を促すため、栄養状態にかかわらず、アルブミン値が下がります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」