年中鼻詰まりは要注意 蓄膿・不妊・気管支炎の意外な関係
「花粉症の場合、線毛機能が正常に働かずに排出されなかった花粉が、アレルギーのもとになる『抗原』と呼ばれるタンパク質を粘膜に浸透させます。その情報を異物と認識する細胞が、リンパ球のT細胞、B細胞に伝え、花粉に合う抗体がつくられる。抗体に花粉の抗原がくっつくと、脂肪細胞からヒスタミンやロイコトリエンと呼ばれる刺激物質が放出され、その反応で鼻水やくしゃみが出ます」
この状態が繰り返されると、粘膜上皮に好酸球が増えて細胞が傷つく。そこに細菌やウイルスの感染が重なり、蓄膿症(副鼻腔炎)や気管支拡張症が生じる。
「逆に言えば、年中こうした病気を患う人は『線毛異常』の可能性があります」
■うつ病、めまい、がんとの関わりも?
問題は、この線毛が鼻や気管や気管支以外にも、耳管、卵管、精子、脳、腎臓などに備わり、重要な役割を担っていることだ。
「線毛には動くものと動かないものがあり、前者は、たとえば卵管では生理のときに卵子を排出し、受精卵を子宮に送り込む手助けをする。精子は鞭毛として卵子に向かって遊泳するときのスクリューとなります」