弁膜症 ベトナムでも日本と同じ時間・内容の手術ができた
■教育効果の高い手術を見せることができた
その後、ホーチミン市にある175国防軍病院に移動しました。ここは今回ベトナムで訪れた3施設の中で一番きれいな病院で、院長の考え方も先進的でした。もともとはベトナムの軍医が立ち上げた病院で、現在は新たな施設を建設中です。
それも、これまでの病院をただ拡大するわけではなく、メインとなる病棟を中心にして、目玉となる診療科をセンターにしたいくつものビルを設置する計画を進めているそうです。
この方式は、アメリカのクリーブランドクリニックに似通っていて、こちらはアメリカの軍医総監が立ち上げた病院です。ちなみに、日本の軍医総監が設立した病院が順天堂医院です。
その病院では、僧帽弁閉鎖不全症の弁形成術を行いました。しかもその患者さんは、ベトナムでは比較的少なく、日本やアメリカで多い僧帽弁の逸脱症で、僧帽弁を支えている腱索(弁と左心室の壁をつないでいる)が断裂している状態でした。特にこのケースに該当する僧帽弁前尖が壊れた患者さんは、弁膜症患者の10~15%くらいしかいないため、一般的には弁形成に高い技術と経験が要求されます。