脳の老化を防ぐ 歩くことはうつ病と認知症の予防につながる
誰しも、100歳まで自分の足で歩きたいと思っているもの。それには、普段から正しい歩き方をしていることが大事なのだが、そうはいっても、正しい歩き方とはどのようなものなのか、なかなか分からないのが普通だろう。
「JCHO東京新宿メディカルセンター」(東京・飯田橋)のリハビリテーション士長で理学療法士の田中尚喜氏によると、正常な歩行とは、まず後ろ足の母趾(足の親指)の指腹で蹴り出すことで重心を前方に送り出す。反対の足で支えながら、蹴り出した足を振り子のように前に振り出して歩くというもので、足は決して体よりも前に出ることはないのだという。
この歩行の方法によって、進む方の足では大臀筋上部線維およびヒラメ筋という筋肉が、そして支える方の足では大臀筋下部線維および大内転筋という筋肉が使われていると、田中氏は説明する。
「街で歩いている人を見ると、よく足を持ち上げて大きく振り出している歩き方の人がいますが、このような大げさな歩き方は決して体にいい影響を与えません。大股で歩くと結果として膝が曲がり、重心が上下するのを支えようとして、大腿四頭筋という筋肉を過度に使ってしまう。これによって、体に余計なダメージがかかってしまうのです」