膵がん早期発見「超音波内視鏡」だけでなく総合診断が必要
EUS―FNAにしても、早期である1センチ前後の膵がんの細胞を2センチ以上離れた胃や十二指腸の中から穿刺して、診断に足る十分な細胞を回収するのはかなり困難です。その成功率はそれほど高くありません。
ですから膵がんの見落としを防ぎ、膵臓の病変の詳細を知るには造影CTやMRIなど、ほかの画像診断の所見と突き合わせて最終判断することが重要です。現時点ではEUSは補助的診断だと考えます。
私は日本消化器内視鏡学会認定指導医でもありますが、膵がんの診断はEUSのほかに、ダイナミックCTと「磁気共鳴胆管膵管造影」(MRCP)の所見を総合して行うようにしています。
ちなみにダイナミックCTとは肝臓や膵臓・胆嚢・脾臓などの病気を診断する際に造影剤を30秒間隔で注入し、その後、一定時間に同じ部分を撮影する検査のことです。造影剤を入れて複数回撮影することで血流の流れや病変と正常組織の造影剤の到達具合を比較して、どういう病気かを診断していきます。
マルチスライスCTを使うことで、より小さながんまで見つかるようになりました。
MRCPはMRI装置を使って胆嚢や胆管、膵管を同時に抽出する検査法です。膵臓の前がん病変などを検出するのに特に優れているといわれています。
(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)