患者が急増中!その視力低下は近視でなく「円錐角膜」です

公開日: 更新日:

早めの治療がわが子の将来を開く

 反抗期のど真ん中にある子供たちは、円錐角膜といってもコトの重大性を認識するのは難しい。親が先を見越して積極的に関わらないと、子供の将来を狭めることにもなりかねない。

 左右ともに円錐角膜が見つかった男子高校生は、親の強い勧めですぐに手術をしたおかげで進行がストップ。大学へ進学、卒業後は念願の海外駐在員になったという。

「10代はとくにですが、短期間に視力が急激に落ちた、乱視が進んだ、眼鏡をかけても視力が出にくい、景色や街灯がにじんで見える、といった人は円錐角膜を疑い、角膜形状解析検査を受けることをお勧めします。眼科専門医が在籍する医療機関で対応してくれるはずです」

 ハードコンタクトレンズの装着が必要ない状態で発見されれば、「角膜クロスリンキング」を選択するのも手だ。

「円錐角膜の人の目のコラーゲン線維は、普通の人に比べて軟らかいために変形してしまいます。そこで、薬剤で固めてしまうというのが角膜クロスリンキングです。具体的には点眼麻酔をした後、手術で黒目の表面の角膜上皮を取り除き、リボフラビン(ビタミンB2)を溶かした点眼薬を垂らした後に紫外線を照射して目のコラーゲン線維を固めます。照射後は度のないソフトコンタクトレンズを保護のために装着して終了です」

 この治療法は03年に開発されたばかりであるため、長期的な影響はハッキリしない。しかし、10年の追跡調査では、進行が止まる効果が確認され、大きな合併症は報告されていないという。

「海外ではすでに30万件以上行われたといわれ、欧州ではその普及により円錐角膜で角膜移植を受ける患者さんが10年間で半減したとするデータが示されています。米国食品医薬品局(FDA)も16年に安全な治療として承認しています」

 視力低下が気になる人は知っておいて損はない治療法だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  2. 2

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  5. 5

    【埼玉・八潮市道路陥没「2次被害」現場ルポ】発生2週間、水は濁り死んだ魚が…下水放流地で見た河川の異変

  1. 6

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  2. 7

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  3. 8

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  4. 9

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  5. 10

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”