「肉をたくさん食べると心筋梗塞や脳卒中になる」は間違い
皆さんは「ファクトフルネス」という言葉をご存じでしょうか? スウェーデンの医師で公衆衛生の研究者が作り出した造語です。データや事実に基づき、世界を読み解く習慣のことです。
この研究者が書いた同名の本はビル・ゲイツやオバマ元大統領が激賞し、世界中で大ヒットしました。耳にしたことがある、という人も多いと思います。
人は思い込みから行動したり、主張したりすることが多く、勉強ができる人ほどその傾向が強い。だから、データや事実と向き合うことが大切で、思い込みから解放されれば世界を正しく見ることができるというのです。
私もまったく同感で、患者さんに限らず医療関係者や学者のなかにも、過去のデータや記憶、思い込みにとらわれて、真実を見誤っている人は少なくありません。
そのひとつの例が、「肉をたくさん食べると脳卒中になりやすい」という“常識”です。この常識は新たなデータにより否定されています。
2013年に「ヨーロピアンハートジャーナル誌」に掲載された、筑波大学などが行った研究論文によると、肉をたくさん食べ、飽和脂肪酸の摂取量が増えるほど血圧が下がり、脳卒中と心筋梗塞の発症率は飽和脂肪酸の摂取量が一番少なく、炭水化物をたくさん食べている人たちに圧倒的に多く発症したのです。