ケンカして「退院」を告げられた膵臓がんの患者の胸の内
手術のため外科に移る予定だったケンカ相手のCさんは、翌日には外科病棟へ移り、4人部屋から居なくなりました。ところがその晩、Aさんの腹痛がひどくなり、翌日には腸閉塞のため緊急手術になって、Cさんと同じ外科病棟に移ったのでした。
ストレッチャーに乗せられたAさんとCさんの2人は、手術室の待機フロアで偶然にも顔を合わせ、お互いに手を上げてあいさつしたそうです。こんな場面があったことを、後になって看護師が笑いながら教えてくれました。
Cさんは予定の手術が無事に終わって7日後に退院。Aさんの緊急手術では、膵臓がんには手がつけられませんでしたが、腸閉塞の方は腸をつなぐ手術をして腹痛がなくなり、こちらも同じ7日後に退院し、以後は外来通院となりました。
私は、人生、偶然が重なることもあるのだなと思いました。ひょっとしたら、あのお2人の間には“縁”があるのかもしれません。