春の目のかゆみ…消毒液がついた手でこすっても大丈夫?
春の訪れと同時に例年多くの日本人が悩まされるのが目のかゆみだ。空気中を漂う花粉やPM2・5、黄砂が目に入るとかゆくなり、思わず目をこすってしまう。今年は新型コロナ予防のため公共の施設や飲食店に入る前にアルコール消毒を強いられることが多い。その状態で目をこすると、問題はないのか。日本眼科学会専門医で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長が言う。
「アルコール消毒薬が乾いていない状態で目を触れば問題ですが、公共の施設や飲食店に置かれているのは速乾性のものなので目にダメージが起こることは考えにくく、少なくとも当院では、そうしたケースは経験していません。むしろ、いま注意しなければならないのは小さな子供たちでしょう。海外では公共の施設などに設置された消毒液スタンドから飛び散ったアルコール消毒液が幼児の目に入る事故が増えていると報告されています」
実際、フランス毒物対策センターによると、2020年4月1日~8月24日にかけて手指消毒剤の有害化学物質が子供の目に入った症例は前年同期に比べて7倍に増えたという。原因は足でペダルを踏んだり、手を差し出したりすると消毒液が出る、消毒液スタンドの噴き出し口の高さが4歳前後の幼児の身長と同じ約1メートルのものが多いためだ。入院した子供の中には角膜の手術を必要とした例も複数あったという。フランスなどの研究チームが1月下旬、米医学雑誌に「危険性を大人が認識し、幼児だけで使わせないことが必要だ」と警告した。