葉山惟大
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葉山惟大日本大学医学部付属板橋病院皮膚科病棟医長/皮膚科専門医

繰り返す蕁麻疹の多くは原因不明 抗ヒスタミン薬で痒みを抑える

公開日: 更新日:

 蕁麻疹の痒みは、「マスト細胞」という細胞の活発化で起こります。このマスト細胞は夜になると活性化する傾向があります。そのため、A子さんは、夜中は痒みで眠れず、日中は寝不足のためボーッとしてしまって授業に集中できなくなってしまいました。

 体育系の部活の練習中も集中できないし、思うようなパフォーマンスも出せません。

 事実、慢性蕁麻疹により、昼間の集中力が6割程度に下がるというデータがありますから、A子さんの行動パターンは、慢性蕁麻疹の患者さんとして典型的なものです。

 慢性蕁麻疹の代表的な治療薬は抗ヒスタミン剤です。通常、蕁麻疹が出たら抗ヒスタミン剤を数回、服用するだけで十分な効果が得られるのですが、重症化した場合は、倍量まで処方したり、注射薬を併用することもあります。A子さんの場合は注射治療が効果的で効き目はすぐに表れました。

 ただ、この注射は保険適用でも月に約1.7万円と高額なため簡単には使えません。患者さんが未成年の場合は、保護者の同意が必要です。しかし、日中の集中力が下がってパフォーマンスも下がり、進学、就職にも影響することを想像してもらうと、その価値は計り知れないと思います。

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