アトピー性皮膚炎<下>注射、飲み薬、塗り薬でかゆみを抑え、つるつる肌に持っていく
アトピー性皮膚炎は遺伝的、あるいは環境的なストレスが原因で起こる皮膚の炎症です。多くの因子が関与する、意外に複雑な疾患ですが、近年は治療の選択肢が増えてきました。
特に子どもや10~30代の若い世代に多く、重症化すると顔や首など目立つ部位に発症します。
かきむしった結果、肌の色が紫っぽくなったり、皮膚が粉っぽくなったり、ゾウのような表面になるなど見た目の変化も大きいため、人目につくことを嫌がる人が多くいる疾患でもあります。容姿を気にするあまり外出ができなくなったり、うつになる人も珍しくありません。
皮膚科医になったばかりの頃、先輩から痛ましい話を聞きました。ご自身もアトピー性皮膚炎で悩まれていた若いお母さんが、生まれた子どもも重度のアトピー性皮膚炎で、医者から「治らない」と宣告されたことに絶望し、赤ちゃんを道連れに自殺してしまったという悲しい事件です。
それくらいアトピー性皮膚炎というのは、肉体だけでなく精神的にも苦しみをもたらすのです。