オミクロン株は重症化リスクは低いが…ウイルス量がなかなか減らない 治療の現場から報告
現時点で、厚労省が定める療養終了・退院基準は「発症日から10日経過(無症状患者は7日目)かつ症状軽快から72時間経過」となっている。しかし、退院後であったり療養期間が終わっていたりしても、鼻咽頭のウイルス量が減ってない人はいるため、ウイルスを排出しながら街中を歩いている可能性もあるのだ。
■初期のステロイド投与は回復が遅れる
感染者のウイルス量がなかなか減らないケースはほかにもあるという。
「発症初期から治療薬としてステロイドを投与された患者さんの中には、ウイルスが検出されなくなるまで20日間を超えることもあり、酸素吸入が必要なまま回復が遅れてなかなか退院できず、自宅退院が難しくなって後方病院への転院が必要になるケースが見られます。実際、急性期を担う公的医療機関で発症初期からステロイド治療が行われた患者さんの転院を受けたことが何度かあり、回復が遅れているため酸素投与を続けなければいけなくなったケースを経験しています。ウイルス量が50程度に減った段階からの投与を行っている当院では、平均の入院期間が7日未満で、深刻な後遺症もなく社会復帰できていて、当院からの在宅直帰率は100%となっています」
今後、これまでのオミクロン株よりも感染力が強いとみられる派生型「BA.2」への置き換わりが本格化するとも予想されている。感染した場合、症状と同時にウイルス量をしっかり確認してから、治療法や退院を決める方針が必要ではないか。