秋野暢子さんが告白した食道がんで厄介なのは「咽頭との重複」
食道がんは、アルコールとたばこが大きなリスクで、咽頭がんも舌がんも2大リスクが重なるため重複しやすいのです。舌がんをはじめ口腔がんの人も20%に食道がんがあるといわれます。食道とのど、口のがんは、とてもオーバーラップしやすいのです。
秋野さんは35歳までたばこを吸われていたようで、アルコールは2年前に禁酒。一般に禁煙の効果は、20年でたばこを吸わない人と同じになるとされますから、秋野さんはお酒の影響が強いのかもしれません。
食道がんと咽頭がんの重複が厄介なのは、治療の後遺症が重いこと。手術は声帯を切除するため声を失い、声帯を残す化学放射線療法でも照射範囲がとても広いため、口内炎やのどの痛みがひどく、声のかすれも強い。どちらの治療も、厳しいのが現実です。
自治体のがん検診は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頚がんの5つが対象。人間ドックでも、食道がんの項目はありません。
では、酒を飲み、たばこを吸うようなリスクが高い人はどうするか。重要なのは胃がん検診、この場合、内視鏡に限りますが、その受け方です。胃カメラ検査を受ける前に、「酒飲みなので、食道もしっかりと見てください」とお願いすること。私も毎年、そうしています。
それで、もし食道がんが見つかったら、咽頭がんを想定した検査も受けるべき。逆もまたしかりです。
転移がんは治りにくいものの、重複がんは早期なら治りやすい。秋野さんのように前向きさが大切です。