「抗原検査でコロナ陰性」を信じてはいけない 発熱外来医師が指摘
発症してすぐは偽陰性が多い
では、抗原検査キットでは、どれくらいのCt値まで陽性と判定できるのか? 参考になるのが、21年10月に東大医科学研究所が発表したデルタ株に対する抗原検査キットの感度のデータだ。
Ct値は数値が大きいほど検体にウイルス量が少ない。東大医科学研究所のデータによると、日本で医療用として承認されている抗原検査キットで、確実に陽性判定となるのはCt値21以下。グレーゾーンを含めるとCt値27まで。抗原検査の感度はPCR検査と比べて非常に低いことがわかる。
■疑わしい場合はPCR検査を
「当院のPCR検査陽性314例を、もし抗原検査キットで調べていたら、陽性となるのはわずか4.7%。グレーゾーンを含めても36.9%。抗原検査キットだけの検査では、6割以上の陽性者を見逃していたことになります。7月から抗原検査とPCR検査を併用するようになり、実際の数値では抗原検査でそこまで見逃すことはありませんが、それでも、抗原検査陰性、しかし、PCR検査では陽性というケースは珍しくありません」
抗原検査の結果が信用できないのは、特に発症すぐ。感度がより低く、偽陰性となりやすい。
「『朝喉が痛かったので抗原検査キットで調べて陰性。そのまま出社したら昼くらいから発熱して、PCR検査を受けたら陽性だった』というケースをよく聞きます。無症状の人が、週2~3回、確認のために抗原検査キットを使うならいいですが、症状があったり、濃厚接触者となった場合に、抗原検査キットだけに頼っていては、感染拡大につながります」
抗原検査キットで陰性であっても、必ずPCR検査での確認を。
▽抗原検査キット 抗原検査キットには、国が臨床的に有効と認めた「体外診断用医薬品」と、国の承認が得られていない「研究用」がある。研究用はネットで出回っていて手に入りやすいが、体外診断用医薬品より精度は落ちると考えられる。厚労省は、体外診断用医薬品を今後ネットで販売すると発表。