食品業界注目の「サゴヤシ」は何がすごいのか 忍び寄る「食糧難」の救世主?

公開日: 更新日:

■夜遅い食事にぴったり

 現代人は過食、深夜までの仕事や学習、寝不足などによって体内時計が乱れがち。朝の食事はそれをリセットするのに有効だが、夜遅くに血糖値をあげると体内時計がリセットされやすくなり狂いが生じ、体調不良の原因となる可能性がある。

 愛国学園短期大学の古谷彰子准教授らの研究グループはサゴデンプンの食後血糖値抑制効果と体内時計のリセット力を調べるため、特殊な時計遺伝子を組み込んだマウスを使って、サゴデンプンが朝、夜、いつ食べるのが適当か、食後血糖値や肝臓の時計遺伝子を測定した。

「その結果、サゴデンプンには食後血糖値上昇に対する有意な抑制効果があることがわかりました。一方、体内時計は米や小麦のデンプンに比べて進んでいませんでした。以上のことから血糖値の抑制効果があり、体内時計の狂いを起こしにくいサゴデンプンは夜食向きの食材であり、夜遅い時間帯に食事を取らざるを得ない人にとって、健康を維持するのに都合の良い食材である可能性があるということになります」


 ちなみに、米国の一部やブラジルではガソリンに10%程度のエタノールを混入した新燃料が自動車燃料として一般に利用されていて、サゴヤシはバイオマスエネルギーとしても期待され、研究が進んでいる。

 食べて良し、燃料としても良し。持続可能な資源植物であるサゴヤシは今後さまざまな分野で利用されていくに違いない。少なくとも熱帯産の食べ物としての特性や利用法を知っておくことは、今後、健康的な生活を送るためにも必要なこと。興味がある人は勉強してみるのもいいかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…