下山祐人
著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

誤嚥のリスクが多少あっても好きなものを食べさせてあげたい

公開日: 更新日:

 息子さんから「母は食べることが大好き。好きなものを食べるだけで気分も明るくなるから、なるべく好きなものを食べさせてあげたい。今後の食事をどうしたらよいか」といった相談をいただきました。在宅医療では基本的に病状に差し障りがない限り、患者さんの食事に関してなんら制限はありません。ですがこの患者さんのように術後で腸の動きが弱まっていると、腸に負担をかけない食事が重要になるのです。とはいえ、この患者さんの場合、ご本人もリスクを承知で、好きなものを食べていつも通り暮らしたいという願望をお持ちでした。

「もし、このおかずなら大丈夫というものがあれば教えてほしいです」(息子さん)

「プリンみたいなものなら問題ないでしょう」(私)

「わかりました。そういうものを買ってみます」(息子さん)

「あと、母はカルピスが好きで毎日飲んでいるのですが、とろみをつけるとおいしくないと。普通の水は誤嚥の危険性はありますか? 少しでも気分を明るくさせたいんです」(息子さん)

「薄くとろみでもつけておいたほうがいいかなと思います。1口の量はスプーンですくって2㏄くらいで、1口につき、ごくん、ごくんと2回くらいに分けて飲んだ方がいいかと思います。もし大丈夫そうであれば、とろみを減らせるよう挑戦していきましょう。好きなものを食べられるだけで、生活の質はあがりますもんね」(私)

「いつもご丁寧にありがとうございます」(息子さん)

 好きなものを食べられるだけで気持ちは前向きになります。息子さんの優しい思いに共感し、私たちも精いっぱい協力しようと励まされた気持ちになったのでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題