“超聴診器”で計測する「心音」は重要な判断材料になる
今年4月、AMI株式会社という医療系ベンチャー企業が、「超聴診器」を利用した遠隔医療支援システムを正式スタートしました。同社が開発した超聴診器は、正式には心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器と呼ばれるもので、パソコンのマウス2つ分くらいの大きさの機械をあおむけになった患者さんが胸の上に置くと、心音図と心電図が計測され、独自のアルゴリズムとデータ処理によって記録された生体情報が、離れた場所にいるかかりつけ医などの医療者に送られるシステムです。
データを管理するAMI側は、心音、心雑音、心電の計測データと、患者さんに記入してもらうコンディション記録をトータルで判断し、患者さんの心臓の精密検査の推奨や、治療の方向性を示唆するなど、かかりつけ医や検査をオーダーした医療機関の診断に役立つ情報を提供するのです。これにより、機械を貸し出された患者さんが自宅にいても、心臓弁膜症、心不全の悪化、不整脈といった高齢者に起こりやすい心臓病の診断や管理を行うことができます。
日本では地方で暮らしている高齢者が多く、まだ症状が出ていない心臓弁膜症の人や、救急搬送までは必要ないレベルの心筋梗塞を起こしたことがある人が一定数いると予想されます。そうした高齢者は、次の発作が起こったり、病気がもう一段階進むと、そのまま突然死や自然死となってしまう危険があります。AMI株式会社のCEOで循環器内科医の小川晋平氏は、そんなケースを少しでも減らそうという目的もあって、超聴診器を用いた遠隔診療システムの開発を進めたといいます。